フランス語の語彙をどうやって増やしたらいいのか、という疑問にお答えします。フランス語の学習を始めて何年経っても、フランス語の語彙をどのように増やして身につけていったらいいのか、という問いは消えることはありません。いくら学習を頑張っても現実には知らない単語や知らない表現だらけです。これはフランス語圏に住んだことがある日本人、あるいは現在住んでいる日本人にとっても同じでしょう。フランス語の記事を読んでも、フランス語のサイトに行っても、フランス語のテレビを見ても、知らないこと、わからないことだらけです。語彙の問題は永遠に付き合っていかなければならない問題です。こればかりは地道に増やしていくしかありません。
この記事はとくにフランス語修得機会弱者に読んでいただきたい記事です。日本にいてフランス語が溢れる環境に身を置くことができない人にぜひ読んでいただきたい内容です。
🍓この記事の目次🍓
大人になってから外国語を始めた人のアドバンテージ
子供のころから、あるいは若いころからネイティブの国に住んで言語を習得した人と比べて、大人になってからある言語の学習を始めた人は、やはり不利なのでしょうか?いえ、そんなことはありません。実は私たち大人は語彙を増やす上で大きなアドバンテージがあるのです。それは、日本語にもうかなり習熟しているので日本語では難しい概念やニュースや本なども理解できます。したがって、日本語の語彙にはかなり長けているのです。大人になってからフランス語を始めたら、子供のころから外国語に接した人に比べてまるっきり不利かというと、そうでもないのです。
ネイディブであっても、そのネイティブ言語を使って世の中に溢れる情報を解釈して自分のキャリアに生かせるようになるのは二十歳過ぎではないでしょうか。幼稚園生や小学生には難しいことです。つまり、概念理解ではすでにアドバンテージを持っています。したがって、大人になってからフランス語を始めた人が注力すべきことは、日本語とフランス語の対応表を脳内に作ることです。
脳内の対応表はこなれてくると対応表ではなくなり、直接的に意味を理解できる脳に変化していきます。
一つの方法をご紹介しましょう。ある程度のレベル(仏検で言えばニ級、準一級あたり)にたどり着いていることが前提となります。
新聞系、Yahooなどポータル系、ニュース配信系記事で、現在世間で話題のテーマについて一つ選び、その話題の記事を毎日読む。例えば今ならトランプ米大統領をネタにした記事。
そのメリットは
- 自分もその話題に興味を持つことができる
- みな知っている話題なので理解しやすい
- みな興味がある話題なので毎日類似の記事が配信される。このため、類似の単語に毎日接することができる。
- その結果、語彙、表現などが自然と頭に焼き付く
ということになります。
話題の時事ネタのテーマを決めて毎日メディアから拾って読む方法です。現代はネット時代ですからフランス語のメディアも実に多様でいつでもどこでも、しかもタダで見ることができます。フランスのニュース配信大手のLe Monde, Le Figaro, Liberation, Le Parisienなど、皆ネットでニュースを配信しています。題材も豊富です。これらを有効活用しましょう。もうお金を出しておもしろくもないネタ満載のフランス語教材を買う必要はありません。お金がもったいないです。実用フランス語技能検定(仏検)の一級ともなると時事用語に関する知識もかなり要求されます。この方法は仏検一級対策にも有効です。
自分もその話題に興味を持つことができる
そもそも毎日記事になるような出来事なのですから、ニュースとしても興味が湧きますよね。ここがまず大事なポイントです。そうすることで「やらされている勉強」から積極的に情報を取りに行く姿勢に変わるのです。これは実生活では自然に誰でもやることであり、フランスでの実生活のシミュレーションとなります。こういうニュース配信・新聞系のサイトを毎日閲覧すれば、今のフランスの出来事に精通できますし、語彙の面でも実に有益です。ああ、あれってこう表現するんだ、と思う事しばしばですのでしっかり脳に焼き付いて離れなくなります。
みな知っている話題なので理解しやすい
ある出来事の背景を全く何も知らなければ記事を読んでもなかなか頭に意味が入ってきません。しかしトランプ関連記事ならば比較的理解しやすいはずです。なぜならトランプの事はみなよく知っているでしょうし、どんな発言をしているか、どんな政策をトランプは実行したいと思っているか、などについてそこそこの前提知識があります。日本語でも多くニュースが配信されています。テレビでもその話題のニュースを常に目にすることになります。こうして自然とその話題の背景についての前提知識が出来上がっているのです。背景を知らずに外国語のニュースを読むのはなかなか至難の業です。それは母国語であっても難しい話なので、外国語ならなおさらです。
みな興味がある話題なので毎日類似の記事が配信される。このため、類似の単語に毎日接することができる
そして、もう一つ大事なことは、ほぼ毎日繰り返し類似のテーマでニュースが配信されることです。このため、昨日読んだニュースで覚えた単語が繰り返される可能性が大なのです。このことが重要で、これで単語が脳に焼き付いて行きます。単語帳に丁寧に書かなくても覚えてしまうことができるのです。ニュース系に出てくる単語はかなり特殊で一般的にはそんなに頻繁に登場するような単語ではないことがほとんどです。しかし、毎日同じテーマで記事が配信されるので、特殊用語でも頻繁に目にすることになるのです。ある程度そのテーマについてすんなり読むことができるようになったらまた次のテーマを探してください。今ですとフランス大統領選挙の話題も豊富です。テロなど大きな事件があればその記事がたくさん配信されます。
毎日読むことで、語彙、表現などが自然と頭に焼き付く
このパターンを使うときには単語などをいちいち調べて単語帳に書くというのはしない方がいいです。なるべく多くのフランス語を短時間で読む訓練にもなります。もちろん大事な単語や表現について自分の単語帳に書き留めることは悪い事ではありません。しかし、それをすることで読むスピードが必然的に遅くなってしまい、量をこなすことができません。単語を一度辞書で引いて理解したらさっさと読み進める、という方法をおススメします。
実例として米大統領とランプの話題
例えば、今だと米大統領のトランプの話題をどこの国のメディアも盛んに流していますので、トランプを取り巻く状況はだいたい理解できているはずです。そしてトランプ関連の記事をフランス語で読んでみるのです。例えば2017年2月25日のLe Mondeにもしっかりとランプの記事があります。
Trump rêve de manipuler (aussi) les statistiques
La Maison Blanche projette de modifier le calcul du déficit commercial américain… afin que celui-ci paraisse plus gros. Et pour mieux convaincre les élus de la nécessité de son projet protectionniste.
タイトルは「トランプは統計情報を(も)操作することを望む」と来ました。穏やかではないですね。トランプが過激な発言をすることは誰でも知っています。これが背景知識となり、これもその一つなんだなと想像できます。フランス語文章の順で意味を記述してみましょう。「ホワイトハウスが貿易赤字算出額を書き換えることを企んでいる。もっと多いと見せかけるために。」。ますますトランプがやりそうな話になってきました。「保護主義計画の必要性を議員たちに説得するために。」。なるほど、いつものトランプ劇場か、と理解できます。こういう感じで記事を読み進めます。どうですか?すんなり頭に入りやすいですよね。
このブログは日本にいながらフランスで暮らすようにフランス語を学習する、をテーマにしています。今後もフランス語習得に役立つ情報を発信していきたいと思います。